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2022年度の介護業界の状況は?コロナ禍の影響や給料アップは?

Kaigo 2022

2022年も新型コロナウイルスの影響が続いている日本ですが、介護業界では施設でクラスターが起こるなど、介護職員にとっても緊張感が続く状況となっています。

一方で、コロナへのリスク管理を徹底しながら、入所者とその家族のオンライン面会を実施するなど、コロナ禍に合わせた柔軟な対応を行う施設も増えています。

人手不足も続いている介護業界ですが、他業界で就職状況が悪化したこともあり、介護業界へ人材が流れる傾向もみえました。しかし、それでもなお人手不足の懸念は続いています

2022年1月の介護業界の有効求人倍率は?

有効求人倍率とは、仕事を探している人に対してどれだけ求人があるかの指数で、倍率が高ければ高いほど求人があることを示します。

2022年1月の有効求人倍率は、全体では1.2倍、介護サービスの職業については3.68倍でした。

全体の有効求人倍率は、2019年8月には1.44倍だったものが、コロナ禍に入り低水準になっています。

一方、介護業界は2019年8月の4.43倍からは下がったものの、全体と比べて高い倍率には変わりなく、求人が多いことが伺えます

求人が多いということで、介護業界に就職したい人にとっては仕事を選べる状況にありますが、介護事業所では依然として人手が足りない状況が続いています。

出典:厚生労働省「一般職業紹介状況 令和4年1月」

介護職員数が来年度には22万人も不足!?

日本では高齢化が加速しています。
2021年9月の時点で、総人口は前年に比べて51万人減っている一方で、65歳以上の高齢者は22万人増加し、過去最多の3640万人となりました。

総人口に占める高齢者の割合も29.1%で、過去最高です。

総務省が発表した推計によると、今後も高齢者人口は増え続け、2040年には3900万人を超え、割合も35%以上になると予想されています。

高齢者が年々増えている状況に合わせて、介護職員の必要人数も増えていき、厚生労働省のデータによると深刻な人材不足が予想されています。

2019年の介護職員の人数から試算されたデータによると、2023年度には約22万人足りなくなり、2040年には約69万人もの介護職員が不足するとのことです。

膨大な人数の介護人材不足は国でも緊急性の高い課題となっており、量と質の両面から人材を確保するために、さまざまな取り組みをおこなっています。

国の取り組みとは?

  • 介護に関する入門的研修を開催
    多くの人が介護を知る機会を作り、介護の仕事をする際の不安を払拭できるよう、入門的な研修実施を推進。各都道府県において無料で研修が開催されています。
  • 認証評価制度を導入
    人材の育成や就労環境改善の取り組みを行う介護事業所に対して、各都道府県が評価を行い、一定の水準を満たした事業所に認証を与える制度です。
    認証があることで、就職・転職の検討の際に役立てられ、安心して働くことができます。
  • 介護の仕事の魅力を発信
    11月11日を介護の日とし、前後2週間に福祉介護サービスを深く知るための期間として、その取り組みを推進。
    各都道府県で、介護の魅力を伝える体験講習会やパネル展、就職フェアなどさまざまなイベントが行われています。

出典:総務省統計局「高齢者の人口」
出典:厚生労働省「介護人材確保に向けた取り組み」

2022年は介護職員の給料が上がります!

国では上記のようなさまざまな取り組みを推進していますが、そのほかにも人材確保や定着のため、介護職員の給料を上げるための動きもありました。

2021年11月の閣議決定で「福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金」が新設されました。これは2022年2月~9月までの間、収入を3%程度(月額9000円相当)引き上げることを目的とする事業です。10月以降も継続して給料の改善が行われる予定となっています。

直近の状況としては、予算は変わらず支給対象職種も広がる流れになっています。引き上げ金額は流動的で、職種によって差はありますが、介護業界全体の給料が上がる傾向は変わらないでしょう。

出典:厚生労働省「福祉・介護職員の処遇改善」

2022年はさらに介護現場のICT化が進む

国は介護現場のICT化を推進しています。

ICTとは「情報通信技術」のことで、ICT化とはPCやタブレット、スマートフォンなどのデジタル機器などを取り入れて、サービスの向上を目指すという意味も含まれています。

ICTにより業務を効率化することで、介護現場の人手不足を賄うねらいもあります

介護現場でICT化を進めることで、例えば文書などの作成時間が削減され、介護サービスにより集中できるようになります。

スムーズに情報共有ができるようになり、スタッフ同士の連携も図りやすくなります。 情報をICT化することでデータが蓄積され、データに基づく介護ができるようにもなります。

さらにコロナ禍においては、ICTの活用でオンライン会議やオンライン面会、施設見学もオンラインで実施するなど、感染対策も可能です。

介護現場のICT化の事例

  • 情報共有システム
    高齢者の情報や介護記録を共有できるシステム。タブレットなどで活用でき、すぐに検索・確認ができる。
  • 勤怠管理・給与計算などのシステム
    勤怠管理・給与計算、介護保険請求などが可能なシステム。ホームヘルパー向けのスマホで出退勤登録ができるシステムもあり。
  • 見守りシステム
    センサーにより高齢者の在室を確認できるシステム。

自治体の助成でICT化がさらに進む

厚生労働省ではICTを導入した介護事業所に支援事業を行っています。要件を満たせば、ICT導入にかかる費用を一部都道府県が補助してくれる制度です。

2022年にはすべての都道府県で助成が行われる予定で、ICT化を進める介護事業所はますます増えていくと見込まれます。

出典:厚生労働省 介護現場におけるICTの利用促進

2022年もウィズコロナの介護業界

コロナ禍の影響が続く中、就職・転職希望者には厳しい状況となっていますが、介護業界に関していえば「売り手市場」が続いています

介護職はエッセンシャルワーカーですので、どのような状況になっても仕事がなくなることはなく、ウィズコロナの時代でも必要不可欠で今後も安定して働ける職業といえるでしょう。

これから転職を考える人にとっては、介護職員はテレワークができない職種なことから感染リスクを考えるかもしれません。しかし、介護は感染リスクの高い高齢者と関わる仕事ですので、より慎重に感染対策を行っています。

先述したようなITの活用も進み、オンラインでできるイベントはオンライン化するなど、できる限りの密の回避の対策も進んでいます。

給料も年々上がっており、人材の定着のために介護事業所も職場環境の整備に力をいれています。介護業界の働く環境は、より良いものとなっていくと見込まれます

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