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海外の介護事情をのぞいてみよう!世界の介護がこれから目指すもの

Globalcare

医療の発達にともない迫られる高齢化対策

現在、世界的に医療技術が進歩してきたことにより、介護を必要とする人の絶対数が増えています。中でも日本はトップクラスの長寿大国とされ、より質の高い効率的な介護対策が、国家的に急務となっています。

高齢化問題に直面している国は日本だけではありません。同じように介護政策に追われている国もあれば、さまざまな工夫のもと介護問題を解消している国もあります。環境が異なる中、一概に制度そのものをそのまま取り入れることは困難ですが、各国の取り組みについて知り、日本の問題点を探ることは非常に有意義です

本記事では、世界の介護の現状を紹介するとともに、日本の介護の現在などについて分析します。

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国によって異なる海外の介護事情

はじめに、諸外国における介護政策について見てみましょう。

スウェーデン

福祉大国と呼ばれるスウェーデンは、国が積極的に介護サービスを提供しています。その歴史は1970年代まで遡り、早期から高齢者福祉が実践されてきたことがわかります。国が計画的に介護政策を実行しており、特に地方自治体であるコミューンを中心に、在宅介護のサービスや訪問ケアサービスが充実しています。このため、ホームヘルパーの公的地位は安定し、多くの高齢者が住み慣れた自宅で生き生きと生活しています。

ドイツ

高齢化率が2割を超えているドイツは、少子化の進行もあり、日本と似たような厳しい状況下に置かれています。そのため世界で初めて社会保険の仕組みを作り出し、介護保険を導入した国でもあります。ドイツの介護制度は「在宅介護優先」の方針がとられており、日本で転換を目指している「地域包括ケアシステム」の手本とも言われています。

イギリス

イギリスは公的年金の支給額が低いため、それを是正するための年金の繰下げ制度が設けられています。国民ひとりひとりが元気に働くことを支援し、老後のための経済的な基盤づくりをサポートしています。
ここでもやはり在宅ケアを重視する対策が進んでおり、民間会社が地方自治体から委託されてサービスを提供することによって、ホームヘルプやデイセンター、ソーシャルワーク、配食サービス、福祉用具の提供、移送サービス、リフォームなどといった多様なサービスの質を高めています。

デンマーク

寝たきり患者がほとんどいないとされる北欧の小国デンマーク。すでに高齢化率が15%を超えていますが、高齢者福祉は非常に発達しており、高齢化対策のモデル国として話題に挙がっています。
デンマークでは特別養護老人ホームのような『プライエム』が多数存在していましたが、現在はこれらの新規建設を禁止し、在宅介護を重視する方向に転換しています。デンマークでは、訪問介護スタッフが必要なときに何度でも無料で訪問します。高齢者の自己決定や今ある能力を活性化することを重要視しており、また、市や病院が責任をもって適切な住居・治療を提供する義務が課されています。

アメリカ

アメリカは、高齢者の割合は10%を超える程度に留まっています。しかし、ベビーブーム世代の高齢化が始まり、高齢化対策に関心が集まっています。アメリカには日本の介護保険制度のような公的制度がないので、民間の保険に加入している人など、一部の人が施設を利用している状況です。また、低年収の人を対象に、食事や身体ケア、ハウスキーピングが受けられる「サポート付き住居」があります。
高齢者の多くが自宅に住み続けることを希望しているので、高齢者が住みやすい住宅の整備に向けて動き始めています。

世界の介護がこれから目指すもの

高齢化の進行レベルや財政状況によって異なりますが、おおむね諸外国においては次のような傾向になっています。

在宅ケアを中心とした介護制度

今後は介護施設を削減し、在宅ケアを推進または継続してゆく方針を打ち出している国が主流です。老後は施設に頼りきりになるのではなく、自宅で自分らしく生き生き生活することを目標とします。そのためには高齢者向けの住宅を整備し、そこで訪問介護サービスを展開するといった制度が必要になるでしょう。在宅介護を支援する国の制度の充実とともに、介護の負担が女性だけに偏らないための工夫が必要なようです。

介護予防への取り組み

介護職員がすべてのことを支援してしまうと、要介護度が進むと言われています。これからは過剰な介護サービスを改め、高齢者の今ある能力を生かすように行動を促すことが大切です。そのために役立つのが介護予防の取り組みです。介護予防は症状の悪化を防いだり、回復を目指すことができ、自立支援を促すためにとても有効です。介護予防は施設に入居している高齢者が在宅を目指すためにも、非常に有意義な対策となるでしょう。

介護予防について詳しく知りたい人はこちら >>

日本の介護の現状と課題

ここまで世界の介護にふれてきましたが、日本の介護政策はどのように進んでいるのでしょうか。世界の介護事情と比較しながら、課題を考えてみましょう。

少子高齢化社会

高齢化と並行して問題視されているのが少子化対策です。少子化の進行によって若い世代が減少すると、財源確保の問題も併発してきます。こうした高齢層を支える世代を育てるためにも、国と民間が一丸となって、子育て環境を整備する動きが必要になっています。

介護に対する考え方、基本姿勢の相違

日本の介護施設は世界的に見ても手厚く、介護職員が率先してサービスを行うことが当たり前になっています。しかし、一から十まで介護者が手を差し伸べてしまうと、利用者の要介護度を進行させ、寝たきり患者を増やしてしまうというデータもあります。
諸外国での介護職員の基本姿勢は「セルフヘルプ(self help)」、つまり「自らの自助努力を助ける」という意味です。利用者自身ができることは自分の力で行うことを重んじており、介護者ではなくあくまでも要介護者が主体とされています。
最近では日本でも、高齢者ができるだけ自立して暮らせるように支援をする流れに変わってきており、介護予防も注目されています

延命治療と寝たきり

宗教的な背景もあり、諸外国においては無理な延命をせずに自然な死を迎えることが、高齢者の尊厳を保つという考え方が一般的です。そのため、高齢期に胃ろうによる人工栄養で延命を図ることはほとんどありません。こうした背景が、日本と諸外国における寝たきり患者の割合に、大きな差異を生んでいると言えるでしょう。
延命治療の是非は簡単に結論が出る問題ではありませんが、終末期について話し合う機会を設けることは大切なことと言えます。


世界的な介護の流れを受けて、果たして日本はどのような介護対策に臨むのか。今後の国の対策にぜひ注目したいですね。

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