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ケア資格ナビ> 特集記事> 2018年度の介護報酬改定、何が変わった?
介護報酬とは、介護サービス事業所が高齢者などに介護サービスを行った際、その対価として事業所が受け取るお金のことです。介護報酬は3年ごとに改定され、その時の社会情勢などを加味して料率が決められます。改定内容は政府の方針を反映したものとなります。
介護報酬改定の内容によって介護事業所の運営は左右され、介護職員の給与も変わる可能性もあります。では2018年4月の改定は、具体的にどのような内容となったのでしょうか。
厚生労働省が公表している2018年度改定の概要では、「施設から在宅へ」「住み慣れた地域で高齢者がより長く暮らせる」体制を作る方向性をより強化し、介護と医療の連携やリハビリによる自立支援を重視する内容となりました。
また、団塊の世代が75歳以上になる2025年に向け、社会保障費が増大することが見込まれることから、介護費用を抑えつつ、生活の質も上げることを目指しています。以下、主な内容を見てみましょう。
2018年度 介護報酬改定の主な内容
2018年度の介護報酬の改定率はプラス0.54%となりました。2025年に向けて、高齢者が適切なサービスを受けられるよう、質が高く効率的な介護を提供できる体制を推進します。
※上記は主な内容です。詳しくは厚生労働省資料を参照ください。
参考:平成30年度介護報酬改定の主な事項について(厚生労働省資料)
2018年度は診療報酬も改定
2018年度は介護報酬だけでなく診療報酬も改定され、6年に一度のダブル改定となりました。在宅医療を進めるために、こちらも「医療と介護の連携」がテーマとなっています。
診療報酬改定は医療ニーズの変化や医療技術の進歩なども踏まえた、人材確保や働き方改革の推進が重視されています。診療報酬本体は医科、歯科、調剤で0.55%のプラス改定、薬価等は1.74%のマイナス改定となりました。
2018年度の介護報酬改定はプラス改定となったことから、介護事業所に支払われる報酬が増えることが見込まれます。介護施設などの売上向上につながることが考えられるので、介護職員の待遇が改善し、給料も若干上がる可能性があります。
ただし、事業所の取り組みによって、介護事業所に支払われる報酬が増えるかどうかも変わり、またデイサービスなどの通所介護施設で大規模な事業所は、報酬が引き下げになるところもあります。
リハビリテーションに関する加算は手厚くなっているので、リハビリ職の需要が高くなることも考えられます。
日本では、2025年に団塊の世代と呼ばれる多くの人が75歳以上になり、5人に1人が75歳以上の後期高齢者、3人に1人が65歳以上となります。これにより、医療費や介護費などの増大が見込まれ、社会保障費が圧迫されることが予想されています。こうしたことが「2025年問題」と言われています。
増え続ける社会保障費を抑えるため、また高齢者が地域で少しでも長く自立した生活を送れるように、自立支援や重度化を防ぐ取り組みは今後さらに重要となってきます。今回の改定でも、自立支援や重度化防止は重点項目として手厚い評価となりました。例えば、特別養護老人ホームなどで、入所者がリハビリによって自分で排せつできるようになるなどの改善がみられた場合、事業所への加算につながります。
今回の改定での自立支援を推進する方向性から、介護予防通所リハビリテーションなどにも加算がつくようになりました。このことから、事業所が介護予防サービスにさらに注目することが考えられます。
介護予防の知識があれば、高齢者にトレーニングの実施や栄養指導もできるようになり、介護の現場でさらに活躍できるでしょう。また就職や転職に有利になることも考えられます。
介護予防の資格は、今後ますます注目の資格です。