ケア資格ナビ> 福祉用具専門相談員ガイド
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更新日:2020年11月10日
福祉用具専門相談員は、お客様に福祉用具をレンタルしたり販売したりする際に、福祉用具の提案を行う専門職です。
福祉用具をレンタルおよび販売する事業所は、2名以上の福祉用具専門相談員の配置が義務づけられています。
福祉用具貸与・販売サービスは介護保険で利用できるサービスのひとつで、福祉用具専門相談員はケアマネージャーと連携しながら福祉用具のサービスを行います。おもな仕事は、福祉用具を必要としている高齢者とその家族に希望や身体の状況、生活環境などをヒアリングし、適切な福祉用具を選定・提案することです。
高齢者が福祉用具を活用することで、自立した生活を送れるようサポートするのが福祉用具専門相談員の役割です。
福祉用具専門相談員は、福祉用具のレンタル会社や販売会社などに就職が可能です。介護の仕事と兼任して、施設で働く人もいます。福祉用具専門相談員の資格を持っていれば、就職に役立つと言えるでしょう。
福祉用具専門相談員は、利用者の自宅まで福祉用具を届ける仕事もあるので「運転免許」を取得しておくことをおすすめします。
福祉用具専門相談員の仕事ができる資格・できない資格
福祉用具専門相談員の業務を行うことができるのは、実は福祉用具専門相談員だけではありません。保健師・看護師・准看護師・理学療法士・作業療法士・社会福祉士・介護福祉士・義肢装具士などの国家資格取得者も、福祉用具専門相談員の業務を行うことができます。
なお2015年の制度改定により、ホームヘルパー2級・1級、介護職員基礎研修、介護職員初任者研修の資格取得者は、福祉用具専門相談員の業務を行うことができなくなりました。
福祉用具専門相談員の資格を得るには、スクールで開催されている通学講座で所定の課程を受講します。指定講習の最後に行われる修了評価を受けることにより資格を取得することができます。
修了試験は到達度を確認するような試験なので、指定講習をもれなく受講すれば合格できる資格です。合格率はほぼ100%となっています。
福祉用具専門相談員の指定講習に受講資格はありません。誰でも受講できます*。
* 研修機関によっては、指定講習に定められる到達目標に達することが困難な方の受講をお断りするケースがあるので、くわしくは研修機関にお問い合わせください。
受講期間は5~7日間程度の短期間なので、働きながらでも無理なく取得可能です。受講費用も安く、取得がしやすい資格です。
福祉用具専門相談員のカリキュラムは全50時間で構成されています。
内容は以下の通りです。
カリキュラム | 時間数 | |
---|---|---|
1 | 福祉用具と福祉用具専門相談員の役割 | 2時間 |
2 | 介護保険制度等に関する基礎知識 | 4時間 |
3 | 高齢者と介護・医療に関する基礎知識 | 16時間 |
4 | 個別の福祉用具に関する知識・技術 | 16時間 |
5 | 福祉用具に係るサービスの仕組みと利用の支援に関する知識 | 7時間 |
6 | 福祉用具の利用の支援に関する総合演習 | 5時間 |
福祉用具貸与・販売サービスはケアマネージャーが作成する「ケアプラン」の内容をもとに提供されます。福祉用具専門相談員は「ケアプラン」に沿って、利用者やその家族に福祉用具を選びアドバイスを行います。仕事内容を順番に見ていきましょう。
利用者の心身の状態や使用環境、希望を把握し、利用者一人ひとりが最適な福祉用具を選べるようにサポートします。選ぶ際には、利用者の残存能力を最大限活用することを考えます。
ケアマネージャーが作成した「ケアプラン」と利用者とその家族の相談内容をもとに、「福祉用具サービス計画(利用計画)」を作成します。計画には、どのような目的でどのような効果が期待されるかを記載します。
利用者宅を訪問し、福祉用具を利用者の体の状態や環境に合わせて調整します。福祉用具を安全に正しく利用してもらうために、取扱いの説明を行います。
利用者宅を訪問し、福祉用具が適切に利用できているか状況を確認し、福祉用具の点検・調整をします。モニタリングは年に2回の実施が義務づけられています。
福祉用具専門相談員の資格を取得すると、以下のような場で活躍できます。
福祉用具専門相談員は、福祉用具のレンタル事業所や販売店で活躍できます。そのほかホームセンターやドラッグストアの介護用品売り場、訪問介護事業所などでも介護用品が販売されており、福祉用具専門相談員として商品説明や提案を行うことができます。 必要とされている福祉用具が介護保険の対象になっているのか、使い勝手の良い商品なのかどうかなどを 専門的な立場からアドバイスすることができます。
福祉用具専門相談員の資格は、現場で活躍する介護職員初任者研修や実務者研修をはじめとする、介護資格の保有者がスキルアップのために取得することが多い資格です。
ケアマネージャーなど相談業務についている人は、福祉用具を学ぶことで福祉用具に関する質問に応じたり、不具合にすぐさま対応できるようになるので、利用者に喜ばれるでしょう。
階段をスロープに変えたり、手すりを取り付けるなど、要介護・要支援認定された人が自宅で暮らし続けるため、住宅のバリアフリー化にも介護保険制度は適応されます。
こうした建築・リフォーム分野でも、福祉用具に関する専門知識を生かした提案をすることができます。
家族に高齢者がいる場合、その家族の暮らしやすさを実現するときに福祉用具専門相談員の知識が役立ちます。福祉用具は種類が豊富で、高齢者の生活に便利な物がたくさんあります。専門的な知識があれば介護保険を利用してレンタルするなど、賢い選択ができます。
福祉用具専門相談員の仕事の特徴とメリットは以下があります。
福祉用具専門相談員の求人は正社員のほかパートもあるので、自分のライフスタイルに合わせて働き方を選べます。また介護施設で働くときのような夜勤がなく、土日にしっかり休めるというメリットがあります。
求人の中には資格取得で資格手当を支給する職場もあります。
福祉用具専門相談員は、介護業界に興味はあるものの、現場で直接介護をするには体力的に自信がないという人におすすめです。福祉用具の販売・レンタルの事業所に就職すれば、現場の介護の仕事はなく夜勤もないので、体力的な負担が比較的ありません。
介護職のような人の役に立つ仕事で、夜勤がなく規則的な時間に働ける仕事がしたいという人におすすめです。
また、福祉用具専門相談員の仕事は人と接する仕事なので、コミュニケーションが好きな人におすすめです。利用者の心身機能や状態、必要としているものをできる限り正しく汲み取る必要があるので、客観的な観察力がある人も向いているでしょう。
福祉用具専門相談員と同時に持っていると便利な資格を紹介します。
福祉用具専門相談員として福祉用具の販売・レンタル店で仕事をする場合、「福祉住環境コーディネーター2級」の資格を取得しておくと便利です。福祉用具の販売・レンタル店では介護保険を利用して行う住宅改修工事も請け負っていることが多いからです。
福祉住環境コーディネーター2級があると、介護保険給付を受けて手すりをつけるなどの住宅工事をする場合、自治体へ申請するための「理由書」の作成が可能になります。
ケアマネージャーのもとには、福祉用具専門相談員の作成した福祉用具サービス計画書が提出されます。計画書に目を通すことで、それぞれの利用者に合った福祉用具が提供されているか確認することができます。
ケアマネージャーが福祉用具専門相談員の資格を取得すると、福祉用具サービス計画書の内容をしっかり把握することができ、福祉用具サービスの質の向上につながります。 ケアマネージャー自身が福祉用具を選定・調整することも可能になり、スキルアップになります。
国は2018年の介護報酬改定から、高齢者が住み慣れた地域で長く生活を送れるように、自立支援や重度化防止に力を入れています。2021年の介護報酬改定でもその流れは続き、重点項目となる方向です。
手すりや歩行器、介護用ベッド、車いすなどの福祉用具は、高齢者ができる限り長く自宅で暮らそうとしたときに必要なものです。これらの選定などを行うのが福祉用具専門相談員で、今後もニーズはますます高まると予想されます。