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ケア資格ナビ> 保育士ガイド> 保育士の需要と将来性をくわしく解説!
「少子化で子どもが減っているのだから、保育士の需要もいつかは減るのでは?」
こんな疑問をお持ちの方もいるかもしれません。
現状では人手が足りないといわれている保育士ですが、実際の需要や将来性はどうなのでしょうか?
こちらの記事でくわしくご紹介していきます。
まずは現在の需要から確認してみましょう。
求人サイトを見ると、保育士の募集をたくさん目にすることができます。それだけでも保育士が世の中に求められていることがわかりますが、有効求人倍率を見ると、保育士の需要の高さがはっきりとわかります。
厚生労働省の資料から、近年の保育士の有効求人倍率のピークの値を見てみましょう。
有効求人倍率のピーク値 | |
---|---|
2017年 | 3.4倍 |
2018年 | 3.64倍 |
2019年 | 3.86倍 |
2020年 | 2.94倍 |
2021年7月時点 | 2.29倍 |
有効求人倍率とは、求職者1人につき何件の求人があるかの指標です。
2019年までは3倍以上を大きく上回り、高い数値になっています。2020年以降は下がってきてはいるものの、それでも3倍近くとなっています。2021年は7月現在で2.29倍ですが、求人が出るピークの12月にはやはり3倍近くになると見込まれます。
全職種の2021年7月現在の有効求人倍率の1.11倍ですので、保育士の有効求人倍率がいかに高いかがわかります。
現状、保育士が就職先を探すときに、1人につき3件近くの求人があることになりますなので、保育士は需要が高く引く手あまたといえます。
このように、少子化といわれる今の時代でも保育士の需要は高い状況で、この先もその状況は続くと予想されています。その理由を見てみましょう。
両親ともに働く家庭やシングルの家庭が増え、保育園に子どもを預けたい親が増えています。
厚生労働省の資料によると、共働き世帯は2009年には995世帯だったのに対して、2019年には1,245世帯となっています。
また、専業主婦の世帯は2009年の831世帯から2019年は582世帯に減っています。
今や共働きは、スタンダートになりつつあるといえ、この先もその傾向はさらに強くなると見られています。
「出産後、できるだけ早く職場に復帰したい」「早くから集団の中で生活させ、社会性を身に付けさせたい」と考える親も増え、保育園への入園希望は年々増加しています。 入園希望の増加から、都心部では待機児童数が特に多くなり、社会問題としても取り上げられました。
待機児童を解消するべく、各自治体では保育施設の新設や預け入れ人数の増員を行ってきました。
それに伴い保育士の募集も増え、現状は伸びた需要に対して保育士の補充が追い付いていない状況が続いています。
実際、都心部では有効求人倍率は特に高くなっています。
例えば2021年7月時点の東京都の保育士の有効求人倍率は、全国平均の2.29倍に対して3.09倍となっています。
昨今のコロナ禍で2021年の待機児童は減少に転じましたが、保育士の需要はいまだに高く、しばらく続きそうです。
最近では、「認定こども園」や「企業内保育園」、「ベビーシッター」など、保育士の活躍のフィールドが広がってきています。
認定こども園は、保育園の「保育」と幼稚園の「教育」機能をあわせ持つ施設です。「保育も教育もして欲しい」という保護者のニーズにも応えられる施設で、近年急増中です。
2010年の認定件数は532件でしたが、2020年には累計8016件にまで増えています。
保育士資格のほか幼稚園教諭免許も必要ですが、両方の資格を持つ認定こども園の「保育教諭」のニーズは、とても高まっていることがわかります。
企業内保育園の保育士やベビーシッターも、働き方が多様化する保護者のニーズに合わせて需要が増えています。
上述したように、保育士の需要はとても高くこの先もその需要は続き、将来性もあると予想されています。
少子化とはいえ将来的に子どもがいなくなることはありません。また、少子化だからこそ子ども1人にかける思いも強くなり、金銭面も多くなります。
保育だけでなく子どもの教育もできる認定こども園などのように、多様なニーズに応えられる保育施設が求められると予想されることから、幅広いスキルを持った保育士も求められるようになると考えられます。
高齢化で働き手がしだいに減っていく日本では、女性の社会進出を推進しています。今後も共働きはスタンダードとなり、保育施設や保育士の重要性はますます高まるでしょう。
また、保育士の仕事は子どもたちのお世話をするだけでなく、一人ひとりの成長や個性に合わせて、社会性なども育んでいく仕事です。
AIなどにもとって代われる仕事ではないので、将来的に仕事がなくなるということはないでしょう。
保育士の需要や将来性が気になってこの記事にたどりついた方は、保育士になろうと決めている方や、なるかどうか考え中の方ではないでしょうか?
そんな方々に、保育士を目指すなら知っておきたいことをこちらでご紹介します。
保育士資格を取得した後は、幼稚園教諭免許の取得を目指しても良いでしょう。
両方を持っていれば、昨今急増している認定保育園の「保育教諭」となることが可能になります。
認定保育園に限らず、今後「保育」と「教育」両方のニーズは増えていくと考えられますので、ダブルライセンスであれば将来的に活躍のフィールドがますます広がります。
なお、保育士資格を取得後に実務経験を積むことで、幼稚園教諭免許を取得する際に必要な単位が軽減される特例もあります。
参考:文部科学省 幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例
「保育士になりたいけど、収入が少し心配……」という方もいるのではないでしょうか?
国は、待機児童の問題もあることから、早急に保育の受け皿を拡大することに力を入れています。離職を防ぎ保育士を増やすために、処遇改善を進めています。
処遇改善をスタートさせた2013年から現在まで、保育士の給料は年々上昇しています。2013年から現在に至るまで、平均年収は50万円以上上昇しています。
2017年には「保育士キャリアアップ制度」をスタートさせ、「副主任保育士」や「専門リーダー」を目指すことで給料アップが図れるようにもなっています。
また、2021年11月の閣議決定では2022年2月から月額9,000円程度、保育士の賃金をアップすることを決定しています。
国はこの先も保育士の処遇改善に力を入れる方向で、さらにキャリアアップを目指せば、より良い給料を目指すことも可能です。
保育士資格は国家資格で、資格の更新も必要なく一生有効です。出産や引っ越しなどで一度職場を離れたとしても、需要が高いこともありすぐに仕事を見つけられるでしょう。
保育士は正社員だけでなく、パートや派遣社員としての働き方もできます。子どもが小さいときは短時間勤務にするなど、ライフスタイルに合わせた働き方ができます。
将来性もありますので、職を失う心配もなく長く働き続けることができるでしょう。
未来を担う子どもたちの成長に携わることのできる保育士は、将来性があるだけでなくやりがいも大きい仕事です。
昨日までできなかったことができるようになる、そんな子どもたちの成長を見られることは、大きなやりがいとなるでしょう。
1年前の子どもと今を比べたら、その成長の数に驚かされるに違いありません。立派に卒園するときには、感無量な気持ちになるでしょう。
保育士の仕事は将来を担う子供たちの命を預かり、成長にも関わる責任のある仕事です。
将来性もあり安心して働き続けることができますので、ぜひ資格を取得して保育士を目指してみてください。