介護・福祉・医療資格講座紹介
ケア資格ナビ> 介護事務ガイド> 保険医療機関で介護保険請求が必要になるとき
今日の日本においては活発な臨床研究、国内での精密な医療機器の開発・生産などがあり、医療技術が進歩しています。その上、健康保険制度も充実しているため、日本人の平均寿命は世界のトップクラスを維持しています。
近年では、病気になった人が治療後も住み慣れた地域で継続的にサポートを受けることのできるシステム(地域包括ケアシステム)を国で推奨しています。そのことから、保険医療機関が訪問看護を行うといった体制も整ってきました。
保険医療機関における一部の対応を介護保険で負担することが増えてきたため、保険医療機関での介護保険請求も必要となっています。
2000年以前、医療分野においては「介護が理由での長期入院があり医療費が増加」「介護を必要とする人が長期に療養する場の体制が整っていない」などの問題がありました。
福祉分野においては市町村が介護サービスの種類や提供機関を決め、介護サービスを提供していました。そのため「競争原理が働かず、サービス内容がマンネリになりがち」などの問題が挙げられていました。
こうした問題を合わせて解決するために介護保険が導入されました。
医療保険と介護保険の概要を簡単に説明すると、医療保険は国民全員が安心して医療を受けられることを目的とした医療制度です。できるだけ安い医療費で高度な医療を受けられるよう、社会保険方式を基本とし、公費を投入して運営されています。患者は自由に医療機関を選択して治療を受けることができます。
一方、介護保険は介護を必要とする人を社会全体で支えようという制度で40歳以上の人が加入しなければならない公的な保険です。医療保険同様、社会保険方式で運営され、公費も財源となっています。利用者自らがサービスの種類や事業者を選んで利用できるようになっています。
現在、2つの保険制度で成り立っている医療福祉分野ですが、2015年4月の介護保険制度の改正により、新たに「介護予防・日常生活支援総合事業」(総合事業)と呼ばれる介護予防サービスの体系が生まれています。
この総合事業とは、国の介護予防給付の中で行われてきた要支援の人の「訪問介護」や「通所介護」を、市町村の総合事業として、「訪問型サービス」や「通所型サービス」に移行することにしたものです。
これについては、保険医療機関等に指定された病院・診療所・薬局は、介護保険法による医療系サービスの事業者として指定をされたものとみなす「みなし指定」を講じて、これまでの介護サービス事業が滞らないよう配慮されています。
介護サービスのシステムが充実してくると、複合的なニーズに対応している保険医療機関で働いている医療事務の人の中には、医療保険請求と介護保険請求の両方を請け負うことがあります。
具体的な例としては訪問看護を利用した場合に、年齢や疾病に応じて医療保険の請求が該当したり、介護保険の請求が該当したりすることがあります。その他、保険医療機関に併設する介護サービス施設で介護サービスを利用した人への介護保険請求業務なども挙げられます。
保険医療機関で介護保険請求に対応した例
・併設施設のショートステイを利用する。
・訪問リハビリを利用する。
・訪問看護を利用する。(医療保険適用の場合もあり)
・訪問歯科を利用する。(居宅療養管理指導*の場合)
医療事務に就いている人が保険医療機関で介護保険請求をスムーズに行いたい場合には、それぞれの保険についてまず、特徴を理解しておく必要があると言えるでしょう。
* 居宅療養管理指導とは、通院が困難な療養者に対する療養上の管理や指導・助言を行います。主な担当者は医師・歯科医師・薬剤師・看護師・歯科衛生士・管理栄養士などです。病院や老人保健施設などにおける訪問診療では居宅療養管理指導は算定されません。